何年か前に長野に向かうスーパーあずさの中で読もうと買った一冊の単行本。
立川駅のステーションモールの書店に立ち寄り、目的地に到着するまでに読み切れるボリューム、という条件だけで偶然手にした本です。
結局は車内で寝入ってしまって読む事はなく、部屋の本棚に置きっぱなしにしてありました。
1週間程前、突然の読書欲にかられ引っ張り出してガツガツと3時間ほどで完読。
題名から受けた印象だと、もっと重い感じの読み物のように思えましたが、意外にサラッとした爽やかな感触でした。
筆者の表現や人柄が爽やかな訳で、話の内容が爽やかな訳ではないのですがね。
「国境なき医師団」以前から興味のある分野ではありました。
いったいどんな活動をしているのか。
それは本当に人道的に正しい事なのか。
困っている地域にちょっとお邪魔して、自分たちに無理の無い程度に医療ボランティアをして、期限がくるとそそくさと帰ってきてる?
頭の片隅でそんな事を思ったりしていました。
ボランティア、偽善者、自己満足、上から目線、私の中でぐるぐる回っている葛藤が止まらないでいたのは確かです。
でも、この本を読んで少しスッキリしました。
筆者がこの本の中で言っていた事です。
「ボランティアの動機なんてなんでもいい。」
外人の友達が欲しい、今の生活から逃げたい、語学を学びたい、恋愛をしたい、遠くに行きたい、とにかくフラフラしたい…何でもいいって。
海外での生活のトラブルや命の危険、言葉の壁、団体自体の問題点、などなど色々な事がユニークに書かれていたけれど、私の心に残ったのは「動機なんて何でもいい」という一節でした。
困っている人の為にしている事だけど、動機は自分の為で十分良いし、結果誰かの役に立てればソレでいい。
私なりの結論が出せた気がしています。
私の中にあったボランティアに対するシコリをかなり溶かしてくれた本です。
筆者の 山本敏晴 さんに感謝です。
ありがとうございました。
世界で一番いのちの短い国 | シエラレオネの国境なき医師団
著 山本敏晴
小学館文庫